本題

結婚したら、好きな人が出来たらいけない

倫理に反するから
色んな人達を傷付けてしまうから
だから
我慢するしかないの
 
結婚する前から好きじゃなかったら
成り行きで結婚してしまったら
 
もしかしたら好きになるかもしれない
頑張れば好きになるかもしれない
もう少し
もう少し
もう少し頑張ってみよう
だけど。
どうして苦しいんだろう
どうして好きになれないんだろう
どうして諦めきれないんだろう
どうして
どうして
どうして
 
ミンナヲキズツケテシマウカラ
 
だけど だけど だけど…
 
飛び出したい
 
ただ、私
子供を授かってしまった
結婚してしまった
幸せそうにしなければ
私以外が不幸になる
私以外が…
 
ジワジワと歳を取る
皮膚が乾燥して干からびてくる
身体の全部が垂れ下がって
止まらない
 
老いることは怖くない
けれど、私の商品価値は下がっていくようで
 
商品価値ってなんだ?w
 
この先の私に自信がない
美人だったら
スタイルが良かったら
頭が良かったら
ウンタラカンタラ
おもしろいだけでは女はだめなのよ
私たち動物だもの
 
ああ。
太陽が眩しい
 
夫以外の男との営みに罪悪感がない
もともと好きでもない夫と結婚したから
ヤキモチもない
夫に浮気を繰り返されても
アダルト本だのDVD?
そんなのどうでも良かった
 
浮気相手が「彼をちょうだい!」って声を荒げた時、この子が羨ましいと思ったほどだ
強いて言うなら
おいおい、子供がいる時は止めてよっていうくらい
 
私はいらない
だから言ったの
「どうぞ。いらないから。」
 
きっと、彼が欲しかった人ではないのかもしれない
人のものが欲しかっただけの人かもしれない
私の言い方が間違っていたのだろう
彼女はあっけなかった
さっさと彼を棄てた
どうして?
もっと頑張って!
私を1人にして
好きなように生きたいの
干渉され続けていたから構わないで欲しいの
 
自由
私には無いもの
 
私を見ないで、胸が苦しくなるの
私に頼らないで、息が出来なくなるの
頑張ったでしょう?
沢山沢山頑張ったでしょう?
小さい頃から
やりたい事全部我慢して
あなたたちが喜ぶようにがんばったでしょう?
もう、解放して下さい
 
結婚もしました
子供も産みました
どうして私は満たされてはいけないの?
 
それとも
みんなこうなの?
 
おまえが全て 自分自身で選んだ事だ
 
私が決めてたの?
じゃあ、もういいんだね?
そう言われるなら
好きにして良いのね
 
ごめんなさい
あなたたちが思っているような娘でも妻でもお母さんでもなくて
ごめんなさい
 
黙っていても変わらない
右も左もない
上も下もない
どこもかしこも真っ白だ
グルッと白い世界に押し潰されそうだ
私は真っ黒な喪なのに
 
怖い
愛しているのに
この子達に手を出しそうで怖い
いやよ、私どうなっちゃうの
 
お腹に子供が出来てからというもの
私には心穏やかな日は1日たりとも無かった
別れようとしていた男と結婚し、自分のなかにいる異物に恐れおののき
日に日に大きくなっていくお腹と
それを拒絶する私の体
嘔吐を繰り返し
喉が切れ血を吐き
氷を主食とした日々
それでも
どんなに私が不安に苛まれ様とも
ナルシストのこの子の父親はいつもの如く
自分磨きに勤しんでいる
自分では止められない
かといって中絶する勇気もない
迫り来る臨月
恐怖と孤独の中で
刻々と進んでゆく時間
誰にも言えない
自分がこんな事考えてるなんて
 
破水した
陣痛も始まった
私の意志とは関係なく胎児は自分の力で押し上げるように外へ出てきた
私は何なんだろう
私は本当に必要だろうか
 
生まれたばかりの赤ん坊
産院の人達が、代わる代わる
「おめでとう、赤ちゃんですよ。抱っこしますか?」
「けっこうです。」
 
病室に戻った私はただ
虚無感のみ
未熟児で生まれた赤ちゃんは
保育器の中でスクスク育ち
同室のお母さんたちから「早く会いたいね」
と言われ続け
「はい」と言う言葉とは裏腹に自分の時間を満喫していた
 
みんな幸せなの?
 
私の腕の中に赤ん坊がやってきた
小さかった
凄く凄く小さかった
涙が出た
こんなにも小さな生き物を
私はどうするつもりだったんだろう
私がいなければ、すぐにでも死んでしまうであろうこの子をどうするつもりだったんだろう
この子には私が必要だ
 
この先どうなるか分からない
でも
やれるだけやってみよう
普通ではないだろうが…
 
あれから10年
私には3人の子供がいる
 
この年月
なんとドラマな日々だったことか
結婚した男は未成年婦女暴行で警察に捕まった
そんな男の荷物を整理していたら
女物の下着がゴッソリ出てきた
下着泥棒というおまけも付いた
離婚
するべきだったのだろう
けれど
男の両親に
私の監督不行き届きと責められた
あの子は悪くないと
私の所為だと罵られた
 
ならば
この男と別れまい
私の所為じゃないと
この野蛮人たちに叩きつけてやる
私と生まれたばかりの赤ん坊を心配して駆けつけてくれた母
そのまま地元に連れ帰ってくれた
(この時ほど母を親だと感じた事はなかった。後にこれが最悪の形で裏切られる)
 
それからの私は
病院と薬にどっぷりと浸かった
しばらくは許された
しかし
周りは見ていられなかったのだろう
頑張れ、頑張れ
見てる方が辛いから
早く立ち直ってくれと
精神をきたした私に追い打ちをかけた
 
男は自分の地元にいられなくなり
私の実家に転がり込んだ
男はとても人あたりがよく、私の両親に非を詫び私と両親への償いとして精一杯頑張ると誓った
 
私は、男の両親へ見せつけてやりたくて受け入れた
男は頑張ってくれた
家庭では…
私は人身御供だ
また犠牲者が出ないよう、周りに迷惑が掛からないようただただ苦痛に耐えた
子供が出来た
 
そしてまた問題は起きた
 
自分を中学生と偽っての女子中学生とのメール
これが私をまた不安定にさせた
男が起こした事件をフラッシュバックさせた
日々不安定になっていく自分
けれど
周りにもう心配掛けられないという怨念じみた思想
誰にも言えない
大丈夫
我慢は慣れてる
我慢、我慢、我慢
 
最後の子供が私のお腹に宿った
男は、私の父の会社で頑張って働いていた
そして
私の家族の隙をつくように事務の子と浮気に走った
私はもともと妊娠には向いていない身体なのであろう
そこに
2人の小さな子供と悪阻な酷い身体に鞭打つように家に帰って来ない男からの金銭面での仕打ち
実家の離れに住まわせて貰っているという恩義
 
生まれた赤ん坊は普通より不利な状態で世に出てきてしまった
私の精神状態がすこぶる悪かったせいであろう
6か月を過ぎたあたりから何かおかしいことに気が付いた
体が異常に柔らかい
かかりつけの病院で診てもらったが
もっと大きな病院を紹介された
それからは検査検査の日々
そして下された結果は筋肉の病気
先天性で歩く事は出来ないであろうと
まだ、はっきりしていないから病名は断定できないがずり這いの生活を送るでしょうと
 
今度も私は受け入れた
この子が痙攣を起こして病院に担ぎ込まれた時も
肺炎で入退院を繰り返した時も
この子が薬漬けであっても
いつも笑っていた
大丈夫
大丈夫
こんなことちっとも大変じゃないよ
ほら
大丈夫
 
今この子は走ってる
そして よく笑う子になった
 
父が胃ガンになった
何も感じなかった
男は無理解であった
そしてナルシストでもある
自分磨きに余念がない
小3になった娘が万引きで警察に捕まった
 
男が言った言葉はこうだ
「怖かった。自分の身内が捕まるとどうして良いか分からなくなる。」
 
私は今まで水が流れるようにどんな事でも受け入れた
それから1年
とうとうそれはやってきた
もう無理だ
男が娘の着替えを覗いていたのだ
パリンと頭の中で何かが割れる音がした
それは駄目だ
これだけは受け入れない
娘だけは傷付けさせてなるものか
私は離婚を決意した
娘はもう何年かで制服を着る年になる
 
男の母親は私に言った
「大したことじゃないのにいつまでも…事件って言ったってたかが新聞に載ったくらいで。」
良い事であれ悪い事であれ、全国版に載るって相当だ
 
やっと開放された
この男の事は私の所為じゃない
もう終わりにしても良いのだ
 
そして私の長かった10年は終結した
 
私の両親に伝えると、母親は言った
「可愛がっていたのに、勝手に離婚するなんて。」
事あるごとに何も言わなかった私が悪いのだろう
両親からすれば男は必要な人財となっていた
 
この人は母親なのか?
私が可愛くないのか
そうだとしても、男のした事が女として娘を持つ母親として受け入れられるのか
というよりそもそも人なのか…
 
私は、両親とも絶縁した
 
疲れた
 
幸せである事に罪悪感を感じる
不貞な事をしないとバランスが取れない
 
私は笑顔が得意だ
何もなかったかのように微笑んでいれる
 
この子達を幸せにするため笑っていこう