「……。そうだ。我が命、誰のためでなくあの子供たちのためにささげよう。」
そして僕は金色に輝く麦畑で言う。
「母さん。」
空は赤くぼんやりしていた。
「母さん。ああ、僕は、あの名も知らない子供たちのために、あの子たちが少しでも生きていられるように、この命をささげたいと思います。」

                                    ある特攻隊の残した日記


国の為に死ぬという事が理解出来ず、だが、何のために死なねばならないのかと自分自身に問いた時、目の前を通った子供たちの生命を少しでも長く伸ばせればという話。